ブログでダラダラとサイクロイダル・ドライブ赤道儀を作る過程を載せましたが、このページに纏めたいと思います。3Dプリンターを持っているという条件はありますが、誰でも作れるように書いて行こうと思います。アリミゾ(望遠鏡を取り付ける金具)を除けば、1万4千円で製作が可能です。部品の殆どは、Amazonで入手可能です。制御は、OnStepで行います。INDI等に接続して一般的な自動導入追尾赤道儀と同様に扱えます。
より簡単に導入するには、ZWOのAsiair PlusやStellarmateのStellarmate+を使うか、Raspberry Piで自作することも可能です。OSはStellarmate OSやAstroberry Server等をインストールします。
サイクロイドドライブとは?
サイクロイドドライブとは、コンパクトかつ堅牢な設計で、非常に高い減速比を実現するユニークな減速機です。平ギアや遊星ギアなどの従来のギア駆動に比べ、同じスペースで最大10倍もの高い減速比を実現することができます。さらに、バックラッシュがほとんどなく、高負荷容量、高剛性、高効率(90%)であることも特長です。これらの特性により、サイクロイドドライブは、ロボット、工作機械、製造装置など、位置決め精度と性能が重要な多くのアプリケーションに適しています。
動画でも分かる通り、中心の入力軸が一回転するとサイクロダルディスク(黄色の6穴のギア)が1ギア分入力軸とは反対に回転します。サイクロイダルディスクの中心が入力軸からズレて(オフセット)いるのが分かると思います。今回サイクロイダルディスクは45歯なので、入力軸が45回転するとサイクロイダルディスクが一回転します。このサイクロダルディスクから出力軸に動力を伝えることで、減速比1:45のサイクロイダルドライブが完成します。
今回は、2枚のサイクロイダルディスクを採用しました。ガタを減らすことが目的ですが、高速に回転する場合振動防止にもなります。
3Dプリント
現在、様々なフィラメントが利用可能ですが、印刷のしやすさ、プリント後の耐久性、そしてコストを考えるとPETGが一番適していると思います。もちろんPLAやABSでも作れると思いますが推奨しません。今回はPETGで製作を進めていきます。PETGを上手く印刷出来ない方は、「3D Printer Cura PETG Setting 紹介」を読んで参考にして下さい。
プリントパーツリスト
3Dプリンターの設定によって、プリント時間は大幅に変わります。値段は、1kg=2,100円の激安フィラメントを想定して計算しています。ビルドプレートの密着性についても問題がなければ、すべてSkirtで良いと思います。すべてのSTLファイルは、上下も合わせていますのでそのまま印刷して下さい。
ファイルはThingiversでダウンロードして下さい。
ファイル名 | 重さ | 値段(円) | 印刷数 | 密着性 | サポート |
GearBox | 50 | 105 | 2 | Raft | No |
Planetary_Gears | 30 | 63 | 2 | Skirt | No |
Main_Shaft | 70 | 147 | 2 | Skirt | No |
Gear Spacer | 7 | 13 | 2 | Skirt | No |
Bearing_Shafts | 6 | 11 | 2 | Raft | No |
Input_Flange | 17 | 35 | 2 | Skirt | Yes |
RA_Output_Flange | 23 | 53 | 1 | Skirt | No |
RA_Arca_Plate | 24 | 50 | 1 | Skirt | No |
RA_Housing_Main | 163 | 341 | 1 | Skirt | No |
RA_Housing_Bottom | 53 | 110 | 1 | Skirt | No |
RA_GT2-64_Pulley | 13 | 26 | 1 | Skirt | No |
DEC_Housing_Main | 116 | 243 | 1 | Skirt | No |
DEC_Housing_Front | 43 | 90 | 1 | Skirt | No |
DEC_Housing_Back* | 75 | 158 | 1 | Skirt | Yes |
DEC_Housing_Back_Simple | 75 | 158 | 1 | Skirt | Yes |
DEC_Housing_Back2 | 40 | 84 | 1 | Skirt | No |
DEC_Housing_Back3 | 23 | 48 | 1 | Skirt | Yes |
DEC_Output_Flange | 23 | 53 | 1 | Skirt | Yes |
DEC_Arimizo_Plate | 24 | 49 | 1 | Skirt | Yes |
Arca-Plate_Long | 25 | 51 | 1 | Brim | No |
合計 | 766 | 1,730 |
購入パーツリスト
まずは、必要な部品を揃えましょう。基本はAmazonが一番安いです。特にAmazonで販売されている安いベアリングは中華製ですが、この赤道儀で使う分には性能は充分で日本製より圧倒的に安いです。
※金額は購入先、時期などで変動します。あくまで参考として下さい。
赤道儀本体
名称&リンク | サイズ | 重さ(g) | 量 | 価格(円) | 総重量(g) | 合計(円) |
ベアリング 6812-2RS | 60x78x10 | 100 | 2 | 936 | 200 | 1,872 |
ベアリング 6807-2RS | 35x47x7 | 40 | 2 | 384 | 80 | 768 |
ベアリング 6802-2RS | 15x24x5 | 7 | 8 | 137 | 56 | 1,096 |
ベアリング 686ZZ | 6x13x5 | 3 | 24 | 65 | 72 | 1,560 |
ダボピン | φ3×18 | 1 | 92 | 21 | 92 | 1,932 |
Nema17 ステッパーモーター | 42×23 | 132 | 1 | 1,499 | 132 | 1,499 |
Nema17 ステッパーモーター | 42×38 | 300 | 1 | 1,699 | 300 | 1,699 |
GT2 タイミングベルト | 220mm-2GT-6 | 2 | 1 | 479 | 2 | 479 |
GT2 プーリー 16歯 | 16T-φ5x16x14 | 4 | 1 | 152 | 4 | 152 |
合計 | 822g | 8,605円 |
ホームセンターで購入リスト
名称 | 数 | 備考 |
Φ3mm x 1000mm | 3 | @178 |
M4 50mm 六角ネジ | 8 | 本体 |
M4 12mm 六角ネジ | 4 | |
M4 10mm 六角ネジ | 4 | |
M3 30mm 六角ネジ | 8 | センターシャフト、モーター固定 |
M3 35mm 六角ネジ | 1 | |
M3 25mm 六角ネジ | 4 | |
M3 20mm 六角ネジ | 4 | |
M3 16mm 六角ネジ | 12 | ベアリングシャフト |
M3 8mm 六角ネジ | 13 | |
M3 4mm 六角ネジ | 2 | |
M8 薄型ナット | 2 | Arigata固定 |
金属プラ用グリス | 1 |
ホームセンターでφ3mm x 1mのアルミ棒を自分で18mm(92本)カットできなければ、ダボピンがぴったりです。外歯のピンとして使います。コストを下げたければ頑張ってカットしましょう。
名称&リンク | サイズ | 重さ(g) | 量 | 価格(円) | 総重量(g) | 合計(円) |
ダボピン | φ3×18 | 1 | 92 | 21 | 92 | 1,932 |
回路部
ESP32S開発ボードとTMC2208は、Amazonでの購入がお勧め。それ以外は、秋葉原の秋月電子と千石電商のリンクを載せました。通販だとまとめ売りされていることがほとんどで、特に抵抗などは100個単位になってしまいます。1個単位で買えたとしても1gに送料600円とかかかってしまうので、抵抗、LED、コンデンサなどは街の電子部品屋さんでの購入がお薦めです。
それからメイン基板ですが、ハンドメイドで配線するのはかなり難しいです。今回、深センにオーダーするに当たり最小ロットが10枚だったので、9枚余っています。希望の方にはお譲りする予定です。
名称&リンク | 数 | 単価 | 金額 |
ESP32S開発ボード | 1 | 800 | 800 |
TMC2208(モータードライバ) | 2 | 500 | 1,000 |
2.1mm標準DCジャック | 3 | 30 | 90 |
LED(緑) | 1 | 10 | 10 |
電解コンデンサー100μF16V | 2 | 10 | 20 |
抵抗47KΩ | 1 | 10 | 10 |
ポリスイッチ3Aトリップ電流6A (リセッタブルヒューズ) | 1 | 30 | 30 |
XHコネクタ4P | 2 | 90 | 180 |
分割ロングピンソケット42P | 3 | 80 | 240 |
合計 | 1,990 |
フォーカーサーとローテーター(経緯台モード時、デ・ローテーター)の機能を使う場合は下記も追加。使わない場合は、基板に取り付けないだけでオーケー。
名称&リンク | 数 | 単価 | 金額 |
TMC2208(モータードライバ) | 2 | 500 | 1,000 |
電解コンデンサー100μF16V | 2 | 10 | 20 |
DIPスイッチ3P | 2 | 80 | 160 |
ミニDINソケット(メス)4P | 2 | 100 | 200 |
合計 | 1,380 |
サイクロイダル・ドライブギアの組み立て
パーツを印刷をしたら図のように組み立てます。パーツの構成は下記の通りです。まずはDEC軸のギアボックスを組み立てます。
次にRA軸のギアボックスを組み立てます。DECとは一部のみ違うだけでほぼ同じです。
出力軸を拡大します。
分かりやすいようにCad上で仮想組み立てしてみました。一部スペーサーを廃止したりしていますが、ほぼ同じです。
ギアボックスが2つ出来上がったら、次はDECパートの組み立てです。
【注意】M3 10mm for fix gear boxは、後ろから押し付けてギアボックスのガタを無くすのが目的です。強く締めすぎるとギアボックスが壊れる可能性があります。ある程度抵抗を感じる程度に締め付けてください。
上記のM4インサートナットは、全て8mmの長さを使ってしっかり固定出来るようにしています。次にRAパートの組み立てです。
RAとDECの接続。電子パートはまた次にアップデートします。
Wemos&CNC3に変更したものです。また、DEC用のステッパーモーターに28mmから34mmに変更することができるようにしました。
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